top of page

佐枝節炸裂! 

 噂の「サイっち本」 

このコーナーでは、佐枝せつこがジャンルにとらわれず、人生に再スイッチ

が入りそうな本をご紹介していきます。                   

 「ゆでガエル現象」への警鐘 
あなたは大丈夫ですか?
中桐有道 著/工業調査会

同棲をしていた人気歌舞伎俳優とタレントの「別れ話」をめぐるゴタゴタが連日ワイドショーを賑わせている。本書は女優に心変わりした俳優より、別れの空気が読めない彼女にこそ紹介したくなる一冊だ。

カエルを熱湯入りの鍋に入れると慌てて逃げ出すが、水を入れた鍋に入れ、ゆっくりと熱していくと水温の変化に気付かず、沸騰した湯の中でゆで上がり死んでしまう。この現象を踏まえて、変化を察知できない人間は最終的に致命的な状況に至ることを「ゆでガエル現象」というのだそう。

「この世の中で唯一変わらないもの。それは人を愛する心である」などと言いたいところだが、社会も人の心も世の中のすべての事象は、常に刻々と変化をする。

同棲していても、長年平穏な結婚生活を営んでいても、二人の間がマンネリ化すれば他の相手に目が行きやすい。マンネリ化に気づかず、ゆでガエルになると、やがて家庭内不和が訪れる。これは組織も企業も国も同じこと。ゆでガエル状態になれば機能は鈍り破滅の世界へと化すのだ。

本書は「好奇心を持ち、変化に対応する感度を養い、発想力を駆使して、変化の分からないゆでガエルになってはいけない!」と警鐘を鳴らすだけではない。読者に「ゆでガエル状態に陥らないように、常に自己をマーケティングしよう」と語りかける。

「自己をマーケティングする」とは、対するニーズをよく理解し、それに合致するよう自分の価値を高めること。それを周囲にうまく知らしめ、うまい人材を見つけて自身の価値を買ってもらい実践を通じて対価を得るのである。

しかし、周囲から見た自分の価値は常に変化をする。「変化への対応を怠ることがないように、自身の価値を継続的に買ってもらえるように、日々努力すること」が大切だと著者は言う。

冒頭で紹介した女性タレントは、常に自己をマーケティングしていなかったから男を他の女に持って行かれたのかもしれない。男女関係であれビジネスであれ、変化の察知への具体的な方法は、本書を読んで学んでいただきたい。

(佐枝せつこ)

bottom of page