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佐枝節炸裂! 

 噂の「サイっち本」 

このコーナーでは、佐枝せつこがジャンルにとらわれず、人生に再スイッチが入りそうな本をご紹介していきます。

ジェームズ・ボンド 「本物の男」25の金言 

 田窪 寿保 著  
講談社+α新書

男が憧れる男といえば、高倉健かジェームズ・ボンド。そう言い切るのも私が中高年なのでお許しいただきたい。スーツが似合いクールで女性にモテる英国秘密諜報部員。様々な俳優がボンドを演じ、最初の映画から50年以上も経っているにも関わらず、ボンドがいつもかっこいい存在なのは、彼が本物の男だからだと思う。

 

本書では、英国に精通するビジネスエキスパートであり、ジェームズ・ボンドの生き方をお手本にしている著者が、自らの経験と照らし合わせてボンドの生き様を座右の銘として紹介している。

 

まずはストレートなこの言葉。

「こんな時、『死ぬのは奴らだ』が、私の仕事に於けるモットーです」

―ビジネスは戦場である。妥協しない度胸を持つことが大切だ。

(第一章 ビジネスは戦場より)

 

ボンドは仕事に対して妥協などしない。自分の納得できる結果にしか妥協しない。ビジネスとスパイの世界を同列に語ることはできないことは承知の上だが…。

 

相手に強く出られるとつい自分の主張を飲み込んでしまう人は多い。しかし「納得のできない結果になるなら自分を貫き通すべきだ」と著者はいう。

人と議論することへの労力を回避したいがために、自分の考えを譲り渡す人もいるけれど、ここだけは譲れないというものを持ち続けている人はかっこいい。「ビジネスの世界でも二者選択を迫られたときには、死ぬのは奴らだという度胸を持っておきたい」という言葉には大きく頷いてしまった。

 

私が本書で一番気に入ったのがこの言葉。

「ボンド、ジェームズ・ボンド」(第二章 男としての基本より)

―肩書きに頼らず、実力で勝負しようとする気概を持て

 

「ご職業は?」と聞かれると日本人は大抵会社名を口にする。一流会社に勤務している人を紹介するときは、○○会社にお勤めと、会社名を殊更大きな声で言う人もいる。一方、イギリス人は自己紹介の時に勤めている会社の名前を言わず、自分の職種について口にするという。

 

ボンドの自己紹介は潔い。

「00の・・・」「英国秘密諜報部の。。。」などの肩書きや、超有名学校、イートン校出身であることも、決して口にせず、

「ボンド、ジェームズ・ボンド」

ああ、なんてかっこいいのだろうか!

 

そしてこの言葉、

「悪い男のほうがスリルよ」(第四章 モテる男の流儀より)

―女には押しの一手がやはり効果がある。

 

最近は草食男子がモテるなどと言われているが、本当に女性にモテるのは肉食男子ではないだろうか。ストーカーは問題外だが、一度断ったくらいで引き下がるより、何度も口説いてくれる男の情熱に悪い気はしない。

 

「本当にしつこいんだから」と苦笑しながら、他の女性に目がいってしまうとなぜか寂しい気がするのは私だけだろうか?

 

たまたま予定があって誘いを断っているのに、自分が拒否されたと思う男性がいたとしたら、それではいつまで経っても幸運を手にできないと言いたくなってしまう。

 

「自信は能力を二倍にする」」という英語の諺があるが、ダメかもしれないという弱気は最初からく負けているのも同然だと著者も言っている。

 

ボンドは相手の気持ちなどお構いなしで、真っ先に自分の気持ちを優先する。自信たっぷりにものすごいスピードで口説かれると躊躇する暇もないのかもしれない。それにしても、モテる。とにかくモテる。


本書を読めばモテる男になれそうだ。ただし、ボンドが口説く女性の第一条件は人妻であること。トラブルに発展しないことを願いつつ、モテたい男性に本書をお勧めしたい。

(佐枝せつこ)

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